商品カテゴリ一覧 > 手帳コラム「三度目の恋を、手帳と。」第六話

第六話 デジタル時代の三角関係〜桜の散る日

会社員であった手帳愛用時代から、カフェを開業し、手帳とお別れしていた10年のブランクを経て、手帳との新しい日々はぎこちなく始まった。(これまでのお話)

10年前以上に急速にギアを上げて進むデジタル化の波間をぬって、「現代ならではの使い方をしたい」というのが緩やかな目標である。

そんな中、先日ふるさと納税返礼品の説明会があった。弊店のカフェからもいくつか返礼品を提供しているのだ。
私は、ここぞとばかりに新しい手帳とiPadを持って会場に出向いた。

iPadではその場でサイト上の商品の見え方や説明文を相手に見せられるからだ。

すると、ふとこの手帳とiPadがほぼ同じ大きさだということに気づいた。

アシュフォード イシューA5(左)とiPad(右)
※背景は許可済み

この二つの実戦での使用状況はというと、私はiPadばかりを使っていた。限られた説明時間の中で両方を使う余裕はなく、メモもiPadに書き込んだ。

この場では、私は完全に手帳を持て余していた。

ということは私にとって、ここは手帳に適した場面じゃないということだ。

無理せず次の場面を模索しよう。

*****

その日のカフェ営業後は、ちょっとしたコンサルが入っていた。
これからカフェをやりたいという人や現在経営中の人が相談にのってほしいというニーズが時々ある。

その日は、現在飲食店の開業を検討していて、改装途中の内装にアドバイスが欲しいとのことだった。

許可を得て、一部ぼかしを入れて掲載

現場でシステム手帳のページを開き、おおまかに間取りをメモする。その図をベースに話を重ねる。お互いの話の内容も洩らすことなく書き留める。

紙の上に、これから生まれるかもしれない店の世界が立ち上がっていき、わくわくとした気持ちにもなる。

これらは、手帳でしかできないことだった。

リフィルの「ドットリーフ A5」使用。今回は丁寧さよりスピード重視!

*****

先日カフェの後片付け中に、とあるPodcast番組を聴いていた。
パーソナリティーの二人がそれぞれのカバンの中身の読み上げていた。

即興で始まったようで、あまりにもリアルで面白かったのだが、気づいたら、読み上げにそって、そのカバンの中身を手帳に書いていた。
一緒に歌ってしまうとか踊ってしまうとかと同じ感覚で。

少しの時間だが、まるでアロマを炊いたり、音楽を流すような、肩の力が抜けたリラックスした時間だった。

リフィルの「メモリーフ(無地) A5」使用。
二人の対比が面白く、カバンの中身の多さは、「世間に対する不信の現れ」、カバンの中身の少なさは、「モテてきた人間の弊害」と言っていて、的確で笑ってしまう。

私はと言えば、ついついカバンの中身が多くなってしまうタイプである。

できるだけ軽くしたいと思いつつ、不安でいろいろ詰め込んでしまう。
この新しい手帳にも、重くならないよう最小限のリフィルだけ入れているが、少ないとそれはそれで不安になる。

そこで家にシステム手帳と同じA5サイズのバインダーを置き、そこに未使用のリフィルのストックを置いておき、すぐに足せるようにした。
書き終えた後の用紙のアーカイブとしても使用できるだろう。

それは、桜が満開で4月特有の風の強い日だった。

新しい相棒となった手帳と過ごし始めてしばらくした頃、カフェの入口に桜の花びらが一枚落ちていた。

カフェの近くに桜の木はない。不思議だ。
どういうわけか誰かの服やカバンにくっついて、ここまで旅してきたのだろう。思わず拾って保存した。

第一話で披露したように、10年前、黒のミニ6サイズの手帳にも古い桜の花びらを挟んでいた。

左上:第一話でも登場、SAZABY(サザビー)の黒の手帳に挟んでいた10年以上前の桜の花びら
右上:2026年カフェの入り口に落ちていた桜の花びら
左下、右下:極小ジッパー袋に入れてカードホルダーに。

2026年に再び現れたこの桜の花びらは、手帳の化身か何かなのか?
そんなことを考えるのもまた一興である。

4月から3ヶ月にわたり綴ってきたこの連載で、10年以上お別れしていた手帳と“ 復縁 ”したわけだが、世の中も手帳も私自身も変わった今、その関係は新鮮だ。
手帳は道具であると同時に、書く喜びや癒しを生む存在でもある。また村上春樹の言う「小確幸」をそっと担ってくれる相棒でもある。(第一話ご参照)

AIもデジタルも魑魅魍魎のこの時代、私はこの新しい相棒と、水辺に浮かぶ木の葉のように、一緒に心地よい方向へ流れていこうと思う。

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